現在は現代美術のフィールドでも世界各地で作品を発表し、最も注目を集めているアーティストの一人であるマークレーは、1979年にレコードとターンテーブルを用いたパフォーマンスを開始。最初にして最強のターンテーブル奏者であり、1988年には音楽史に残る問題作「More Encores」をリリース。並ぶ者のないテクニックと絶妙のセンスであらゆるジャンルの音楽を解体しコラージュするスタイルにより圧倒的な支持を受け、ジョン・ゾーン、リー・ラナルド/サーストン・ムーア(ソニック・ユース)、大友良英らとコラボレーションを重ねる。アートとサウンドの領域を横断する活動を続けるマークレーにとって、今回は日本では久々の本格的ライヴとなる。
1994年からサンプラー奏者として活動。1998年、それまでのスタイルを一変させ、サンプラー自体がもともと持っているテストトーン(=サインウェーヴ)を再利用する独自の奏法を開始。サインウェーヴのみを使ったエクストリームなソロ「Sine Wave Solo」(2000)を発表し、イギリスの『Wire』誌、ヨーロッパのフェスティヴァル等、各方面からの注目を一気に集める。以降、大友良英との〈Filament〉を中心に、エレクトロニクストリオ〈I.S.O.〉、中村としまるとのデュオ等、様々なアーティストとともに、日本の電子音楽、インプロヴィゼーションのシーンの最先端に位置する。吉田アミとのデュオ〈cosmos〉は〈Astoro Twin〉とともに2003年アルス・エレクトロニカのデジタル・ミュージック部門金賞を受賞。
1958年頃から即興演奏を始め、1960年に小杉武久らとともに〈グループ・音楽〉を結成。また、美術・デザイン雑誌を中心に多くの文章を発表し、音楽・美術・批評の境界を超えるその先鋭的な活動は今や伝説化している。1972年に渡米して以後はニューヨークを拠点に活動。ジョン・ケージやデーヴィッド・テュードアらとともに、フルクサスやマース・カニングハム舞踊団などのイヴェントにしばしば参加する。1985年からはプリペアされたCDを用いたパフォーマンスを開始。90年代に入り作品がCDでリリースされるようになると、サウンド・アートやテクノ以降の電子音楽の文脈からも多大な注目を集め、驚嘆をもって迎えられた。2002年アルス・エレクトロニカのデジタル・ミュージック部門金賞を受賞。
電子音楽更新の拠点となったウィーン発のレーベルMEGOの中心アーティストの一人。1996年以降、ソロ活動の他、ペーター・レーベルク(pita)、ラッセル・ハズウェル、カールステン・へラー、フロリアン・プムフースル、マーカス・シュミックラー、Shunichiro Okada(id)、刀根康尚らとコラボレーションを展開。〈Farmers Manual〉のオスヴァルト・ベルトルトとのユニット〈cd_slopper〉としても知られる。コンピューター・ミュージックの極限を追求し続けるその強力な音は、リスナーを打ちのめすと同時に力づける。
エディトリアル、ブックデザイン、ポスターデザインを中心にグラフィック・ デザイナーとして活動。『安部公房全集』(新潮社)のブックデザインでは文学全集の新たな可能性を提示し、1998年東京ADC原弘賞を受賞している。 2002年からは、安部公房がフロッピーディスクに残した未完の小説を主題に、インスタレーション作品を発表。今回は、安部公房が使用していたアナログシンセサイザーなどの音を取り込んだ電子音楽+映像を展開する。
vokoiと古舘健による映像/音響/空間演出ユニット。国内外の電子音楽、実験音楽のライヴ・イヴェントに積極的に参加。VJとして、Sonar Sound TokyoやMetamorphoseにも出演する。ヨーロッパ5カ国をまわった2003年のライヴ・ツアーは話題を呼び、同年10月には後藤英と共にポンピドゥ・センターにてパフォーマンス「CsO」を発表、フランスの各メディアによって報道された。物理現象としての音を、単に空気振動だけでなくあらゆる物体の振動へと拡張して捉え、それを時間軸上で操作することで音楽として提示するという新たな地平を切り開きつつある。今回はエクストラメンバーを加え、スピードコアを初披露。
Photo credits
Christian Marclay: courtesy of the artist / Sachiko M: photo by Yuko Zama / Yasunao Tone: photo by SETENV / Hecker: photo by Wataru Terasawa / Kazuya Kondo: courtesy of the artist / 710.beppo: courtesy of the artists
|